「自信」と「勇気」について考える

2019年ラグビーワールドカップ@日本
2019年ラグビーワールドカップ@日本

本当はスコットランド戦の観戦記を書くつもりだったのですが、思ったり脱線したし、きちんと書きたいと思ったので、このタイトルで、グループリーグ4試合を通して感じたことをまとめます。これは私の取り扱い説明書で、ラグビーそのものは全く関係ないです。

「自信」という言葉について

 グループリーグ通してインタビューを聞いていると、いろんな選手が「自信」と「勇気」という言葉を使います。誰かを励ましたいとき、よく使う「自信を持ってやれば大丈夫」という文脈とは全く違う言葉だと思いました。

 で、私がこれまで使って、もしくは、(ありがたくも)言われてきた「自信」というのは、自分のパーソナリティというか、自分が生まれつき持っている得体の知れない「何か」を信じれば、何事もうまくいく、というニュアンスでした。

 これは以前からぼんやりと感じていたことで、ありがたいことに「自信を持てば大丈夫」と言ってもらえるその度に「あなたはわたしの何がわかってんだよ」と無意識に感じていたように思います。私はその言葉に励まされることは全くなくて、逆にその発言をすごく無責任に感じていたわけです。何を根拠にそんなこと言ってんだ?が腹の底で思っていたことです。

 これは今思えば、言う時も、言われる時も、ある意味良くも悪くもテキトーで、真意というのは「がんばれ」というだけだな、と。そして「がんばれ」ってのは何の保証というか、裏付けのない言葉だと感じます。(それはそれで単純に応援してくれていると素直に受け止めればいいのにね。)結局、何を信じればいいのかまでセットでない場合には、それ自体には何の意味も重みもないなぁと、思い始めました。

 日本代表の話に戻ると、例えばリーチ・マイケルが使う「自信」というのは、多分、やってきたことを信じること、という意味だろうと思えます。得体の知れない自分自身の何かを信じるのではなく、これまでの過程、犠牲にしてきた時間や積み重ねてきた努力であって、やってきたことが正しかったことだと「信じて」全力を尽くす、と言う意味であって、やっぱり普段私が使っている文脈とは全く次元の違う発言だったんだろうな、と。「自信」という言葉はそう簡単に、軽々しく人に言うことでも言われることでもないな、と思いました。

 だからこそ彼が「日本代表が強いことを証明する」という言葉がすごくロジカルで、とても説得させられる言葉だなと思うわけです。やってきたことを全力で遂行し、結果でもって、肯定する。事実に裏付けされた「自信」を、勝利で、「証明」する。これがちゃんとした、「自信」という言葉を使うに耐えうる文脈だろうな、と。だからこそやっぱり使う文脈・場面というのは選ぶべきだなと感じます。

 文脈に含まれる要素として、自分と彼らの関わりも非常に重要だな、と。つまり、外野は黙ってろ、と。ジェイミー・ジョセフHCのアイルランド戦前の俳句にあるように、自分が自分のやってきたことを信じて、全力を尽くせばいいのであって、向かう何か(ラグビーの試合だろうと、大事なプレゼンだろうと)について、突然横から入ってきた、何も知らない奴に、何を言われようと、プラスにもマイナスにも効かない。「自信を持ってやれば大丈夫」なんて言われたところで、向かう何かには全くもって関係が、全然ない。自分が、裏付けされる事実そのものにどう関わったのかを意識しないと、ただの無責任発言野郎、自覚のない恥ずかしい人間に落ちぶれるなと思いました。

 まぁ私が1人で勝手に言う時に気をつけますよという話なだけです。言ってもらえることはありがたく受け流せばいいんですよ、何も考えずに。せっかく気を使って言ってくれてることをいちいち斜めに見て文句言うんじゃないよと思った方、あなたが正常です。こんなことを1000字も書いてる私が変わり者でひねくれ者なのです。

 「勇気」について

 インタビューを聞いているとよく耳にする言葉が、これです。真面目に使ったことありますか、勇気って。毎日ダラダラと何の変哲も無い日常を送る(それはそれで幸運)中で、勇気と言う言葉を使う場面に出くわさないなぁと思いました。マイケル・リーチが言う「勇気」が解釈できないなぁと思ってます。ロシア戦でリーチが田村にペナルティキックを指示したことを試合の後、田村が「リーチが勇気を出すチャンスを与えてくれた」と言っていました。その文脈も正直よくわからなくて、どういう意味なんだろうと思っています。

 反対の意味で「ビビらず、勇気を持って」ということをリーチは言っていて、それを考えると「ビビってやらない、をやらない」ということをなのかな、と。それが勇気を出すということなのかなと。で、私に振り返ると、私は何事にもビビっているので、今まで生きてきた中で勇気を振り絞って何かをやったことというのがないのかもしれないから、よくわかってないんだろうなぁと思います。

ただ、ここまで書いてぼんやり感じるのは、最後の一歩を踏み出す心意気なんだろうなぁと思ったり。ここまでやったから大丈夫と思って(=自信を持つ)、やる(=勇気を出す)なのかもなぁと。最後の最後、自分をラインの上に乗せるやつなんだろうなぁとぼんやり感じています。まだなんか「自信」ほどカチッとした考えにまとまらないので、これから生きながら考えていこうと思います。勇気って何だろう。本気でタックルすれば(されれば?)分かるかな。

最後に

 今のところで考えた自信と勇気という言葉についてです。たくさん感じた中で今最初に浮かんだことです。まだまだたくさん感じたことはあるので、しっかり噛み締めて何かしらの形で、未来の自分のために表現したいなと思ってます。

2021年追記

 この記事を書いてから約2年になるのですが、とうとう自分が「自信を持ってやれば大丈夫」ということを言う立場になり始め、言う側になると心の底から本当にそう思って言ってるなということが分かりました笑 でもそれって全く当人の悩みどころに寄り添えてないわけで、やっぱり無責任な言葉になってしまうなぁと、思い直しています。気をつけないと。

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