2021年版「ハカ」って何?

ルール解説
ルール解説

※この記事については2018年に投稿したものの再編集版となります。いよいよ今月オールブラックスが来日します。オールブラックスをお迎えするにあたって知っておきたいシリーズ第1弾として「ハカ」についてまとめます。



ハカとは?

 ハカとはニュージーランドのマオリ族の民族舞踊です。戦いの前に仲間を鼓舞するための踊りのことで、英語ではWarcry(ウォークライ)、日本語では鬨(とき)と言います。日本語のえいえいおー!というのが勝鬨(かちどき)で、戦に勝った時の掛け声だそうです。

 ニュージーランド オールブラックスのハカは、主にテストマッチ(代表試合)の際、国歌斉唱の後、試合が始まる前にピッチ中央で披露されます。民族舞踊の一種であって、わざわざ試合前に披露することでもないので、いいか悪いかの議論はあると思いますが、ある種商業的・パフォーマンス的要素もあるみたいです。 

 オールブラックスのハカは「Ka Mate Ka Mate(カ マテ カ マテ)」と「Kapa O Pango (カパ オ パンゴ)」の2種類がありますが、どちらを披露するかは事前にアナウンスされることはありません。この2種類の関係は対等。どの試合にどちらを披露するかはオールブラックスが決めます。始まってみて結果的に今日はカマテだね、という感じなので、観客目線では、始まる前にどちらのハカが披露されるかを予想するのも楽しいです。

ハカを見てみよう

Ka Mate Ka Mate(カ マテ カ マテ) (2000年vs2017年)

2000→2017年にかけての変化は隊形がバラバラだったのが、キャプテンを先頭に三角の陣形になった点。フォーメーションになったおかげもあってかなり揃っていてかつ迫力があるように感じます。

動画:2000年のカ マテ カ マテ(動画冒頭)

Five Great All Blacks Haka
動画冒頭が2000年のカマテカマテ

動画:2017年のカ マテ カ マテ

Monday Memories: All Blacks haka v Australia 2017
こちらが2017年版。

Kapa O Pango (カパ オ パンゴ) (2005年vs2019年)

 2005年→2019年の変化は最後の動きの変化です。「首切り(throut slitting) ハカ」と呼ぶ人もいるように、首を切るような動きが特徴的でしたが、この動きは結果的になくなりました。なぜならこの動きの本来の「自分の心臓と肺に力を引きずり混む」という意味だとなかなか理解されなかったからです。現在ではお腹から肩に向けて腕を振り上げるような動き、意味は「生けるものの呼吸を心臓と肺に引きずりこむ」に変更になったそう。

動画:2005年のカパ オ パンゴ

First ever Kapa O Pango Haka

動画:2019年のカパ オ パンゴ

All Blacks haka vs Australia (Kapa o Pango)

1番目立っている人=リード

 両方に共通しているのは、ハカの指揮=リードをしている人がいるということです。ハカの指揮はマオリ民族の末裔だけができる特別な役割です。おそらく今回の来日でもTJ・ペレナラ(下記写真 坊主の比較的小柄な選手)がハカのリードをすると思います。



別のチームのハカ

 ニュージーランドの中でも別のチーム(マオリ・オールブラックスとスーパーラグビーの5チーム)もそれぞれにハカを持っています。そもそもハカは民族舞踊なので、その地域に根ざしたハカがあり、以降はそれらのバリエーションです。

 中でも有名なのははやりマオリ・オールブラックス、つまりマオリを先祖に持つ選手だけで構成されたニュージーランドのチーム。私はマオリ・オールブラックスのティマタンガとクルセイダーズのタキナテカワが好きです。リードの人が複数いて道具持ってたり、芝生ちぎって投げたりしています。

動画:マオリ・オールブラックス ティマタンガ

マオリ・オールブラックスのハカ「ティマタンガ」

動画:クルセイダーズ タキナテカワ

Crusaders Vs Lions Special Haka

ハカへの対抗策

 ハカは対戦する相手に向けて行うため、見ている側の選手もそれなりに対策が必要です。日本代表がオールブラックスと対戦した時には、ハカに触発されて試合前に熱くなりすぎないように上着を羽織ったまま見守ったと聞きました。多くの場合が、対抗するというよりも冷静さを失わないためにできることをやっているのですが、真っ向勝負しているチームがあるので、それを紹介します。

フランス代表の対抗〜国旗カラーに着替えちゃう

 2007年のワールドカップ準決勝でのフランス代表の対抗策はあまりにも有名。この映像では見えにくいですが、ブルーの上着を着ていたフランス代表がハカが始まるとなると、上着を脱いで青・白・赤のフランス国旗と同じカラーになっちゃうのです。ハカの終わり頃には鼻がくっついちゃうほど距離に近づいて一触即発の雰囲気です。

HAKA – New Zealand Vs France
すごい迫力。喧嘩にならないのが不思議。

ウェールズ代表の対抗〜オールブラックスが動くまで動かない

 2008年のオールブラックス対ウェールズの代表試合。ウェールズ代表は通常通り1列に並んでハカを見守りますが、ハカが終わっても動き出しません。オールブラックスがフィールドに散っていくまでうごかねぇぞと言わんばかりに仁王立ち(実況はウェールズの石像たちと表現してました笑)で、結局試合が始まるまで2分間ずっとこのこう着状態が続きます。これじゃあ試合が始まらないということでレフリーが間に入り、声をかけたり笛を吹いたりしてようやく試合を始めることになりました。こちらも有名。

Wales vs New Zealand Haka and Response (whole video)



イングランド代表対抗〜V字のフォーメーションで挑戦

 2019年ワールドカップ準決勝での出来事。無敵かと思われるオールブラックスに挑戦するイングランドの対抗策はV字フォーメーションを組むことでした。特に印象的だったのは、V字の根本に仁王立ちのイングランドキャプテン:オーエン・ファレル選手の不敵な笑み。現場でスクリーンで彼の笑顔がアップにされたときは本当に痺れました!!!!!!

世界最高峰の闘い。ハカに相対するイングランド代表【ラグビーワールドカップ】
ニュージーランドキャプテン:キアラン・リードが全員の顔を見ているところもいい。
この表情。強すぎる。ただハーフウェイラインを超えた陣形だったため、罰金28万円を払うはめに。勝てたなら安いと考えるべきかな。

最後に〜ハカの素晴らしさ

 今回は試合前の気合の入るハカの動画を紹介してきましたが、ハカの役割はこれだけではないです。仲間を歓迎したり、お祝いしたりする際、または結婚式の際など冠婚葬祭の場でも披露されます。最近ではアーロン・スミスのスーパーラグビー出場試合数の過去最高を突破した際に披露されていました。彼の涙が印象的です。こんなふうにニュージーランドのとっても大事な文化の1つである、ハカを紹介してみました。ラグビーを通じて海外のいろんな文化に触れるきっかけになれば幸いです!

Highlanders Haka for Aaron Smith

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